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YOICHI ERIKAWA
襟川 陽一

コーエーテクモホールディングス
代表取締役社長

今までにない面白さで
世界のお客様に応える

「創造と貢献」に込めた思い

「創造と貢献」は、コーエーテクモの精神と呼んでいる基本理念です。私が1981年に初めて作ったゲームタイトル『川中島の合戦』は、お客様から高い評価をいただきました。武田信玄と上杉謙信が戦った歴史的事実を踏まえたシミュレーションゲームで、アクションゲームが主流だった当時、それまでにない“考えて楽しむ”タイプのものでした。その新しい面白さが、お客様から大きな支持をいただいた。そこがスタートになり、「第二作目を早く作ってください」「もっと歴史のゲームを作ってください」といった要望に応えるために、継続してゲームを作れるゲームソフト専業の会社になろうと決意しました。このようにお客様からの大きな声援や応援をいただいてゲームソフト会社を始めた経緯や、社会に役に立つという仕事に初めて出会えたという気持ちが、「創造と貢献」という言葉になっています。

また、商品コンセプトとして「クオリティ&サティスファクション」を掲げています。いわばユーザー目線のコンセプトなわけですが、この理由は私がゲーマーだから(笑)。私はクリエイターであり、ゲーマーでもあって、いつも新しい面白さを持ったゲームを楽しみたいと思っています。ゲームファンの方々の気持ちもまったく同様だと感じています。ゲームファンの方々が素直に喜び楽しんでくださる上質で最高のゲームを作ることがゲーム会社の役割であるし、存在意義でもあるので、それに向けて頑張ろうということです。評価サイトのMetacriticや雑誌のファミ通などで高得点を取ることが、具体的な指標になると考えています。

▲『仁王2』

グローバルビジネスの飛躍――10期連続の増益

コーエーとテクモの経営統合以来、10期連続の増益を達成しました。これは両社の持つ技術やノウハウ、経験、人材などがひとつになって影響しあうことで、1+1が3になるというシナジー効果が生まれたおかげです。例えば『仁王』は、テクモのアクションゲームのノウハウと、コーエーの歴史ゲームのノウハウが融合することで実現しました。そして「グローバルIPの創造と展開」という経営方針のもと、当社独自のオリエンタルな世界観を持ったゲームソフトが世界で認められてヒットしたことと、その分野を拡充していって成長性と収益性を実現していくという流れが10期連続の増益を生み出しています。『仁王』は全世界で300万本、『仁王2』も発売間もなくして100万本を超えました。今や当社のゲームソフトは、出荷本数でいうと海外が7割、国内が3割になりました。もう国内のゲームソフト会社ではなく、コーエーテクモは世界中のゲームファンから期待される会社に変わったのです。今後もこの方針を力強く進めていきます。

みなとみらいから世界へ発信

2020年の春に、コーエーテクモゲームスの新本社ビルが横浜・みなとみらいに完成しました。「みなとみらい」という名前自体が、21世紀にふさわしい未来型都市を実現するというコンセプトで作られていて、世界に文化や情報を発信していくことを目指して1980年代から開発がスタートしています。みなとみらいのコンセプトに合う形で、当社がこの地から日本やアジアを背景にしたオリエンタルなテイストを持ったタイトルを世界のゲームファンの方々に向けて創発していきます。現在、『仁王』や『討鬼伝』『三國志』だけでなく、新しいグローバルIPを複数タイトル開発しています。当社の独自性を発揮して世界のゲームファンの方々の期待に新鮮な面白さで応えていきます。

コロナと共存してビジネスを拡大

新型コロナウイルスの感染の拡大で社会のあり方が大きく変わり、コロナと共存しながらビジネスを拡大していくステージになりました。社員が安心安全な環境のなかでベストなパフォーマンスで成果を上げられるように、仕組みや環境を創っていくのが私の役割です。また、政府や各関係諸機関からの、ソーシャルディスタンスの確保や三密の回避など、さまざまな要請に応えていきながら収益性と成長性を創り出していくのも会社の使命です。そういう観点から在宅勤務やコアタイムなしのフレックスタイム制など様々な対処を行った上で、今は稼働状況を100%にキープしています。

社会貢献活動

学術研究でのゲームの活用を支援するために、1994年に公益財団法人科学技術融合振興財団(FOST)を設立しました。私は当初から理事長を務め、ゲームで得た資産を、ゲームを活用した教育や研究活動に使っていただきたいという思いで、これまで4億円を超える金額を支援活動や研究助成に提供してきました。ゲームが社会に受容されていくなかで、FOSTを通じてゲームに関する様々な側面についての研究成果が出てくれば、我々はそれを基によりよいゲーム産業となるよう提言していけます。そのためにも学術研究への支援は変わらず続けていきたい。SDGsといった企業市民として社会の要請に応える活動とともに、ゲームがより社会に役立つ存在であるために社会貢献活動には積極的に関与したいと思います。

▲FOST 25周年記念講演会

私たちは世界をめざす

私たちは「世界No.1のエンタテインメント・コンテンツ・プロバイダー」になることをビジョンとして、世界のゲームファンの方々から支持される会社として伸びていきたいと考えています。これから海外で求められるゲームには、3つの傾向があります。まずAIの駆使。当社でも『信長の野望』や『三國志』ではAIを使ってダイナミックな戦国時代や三国時代を再現し、武将たちもAIによって生き生きとゲームのなかで活躍しています。次に、大人数で、みんなと一緒にプレイを楽しむマルチプレイというスタイル。5Gの時代になってスマホでのマルチプレイがますます一般化していくのではないかと見ています。3つめは見て楽しむというゲーム。eスポーツやプレイ動画など、自分はプレイせずに超絶技巧を見るという楽しみ方が人気になっていますので、見て楽しいゲームを作ることも大切です。これらの取り組みを基に、グローバルIPの創造と展開を強力に推し進めていきます。

ゲーム業界には活躍できるステージがある

最近は大学での講演が増えました。昨年度だけで早稲田大学、慶應義塾大学、東京大学、京都大学で講演し、他の多くの大学からも要望をいただいています。講演の際に、伸びていく業界や会社で思いきり頑張ることが、社会人としてのやりがいや生きがいに通じると話しています。私は染料工業薬品の業界で生まれ育ち、落ち込む繊維産業のなかで一生懸命やったのですが成果には結びつきませんでした。それに対して、拡大発展していく業界や会社で思いきり頑張ると必ず成果に結びつく。当社は継続的に業績が伸長し、世界のゲーム産業自体も同じ状況です。私が1980年にゲームの開発に携わるようになって以来、原則成長を続けています。当社の採用サイトを見られたということは、ゲーム業界に興味があるのだと思いますが、決して期待を裏切らない活躍の場を、ゲーム業界はあなたに提供します。そのなかでも、日本やオリエンタルな歴史や文化をテーマにしたゲームを作っている当社は非常にやりがいがあり、日本やアジアのすばらしい文化を世界に発信していける素地が備わっています。ぜひ当社で一緒に活躍してください。

▲『京都大学 通信情報システム専攻談話会』/『東京大学 工学部 講演会』
『早稲田大学 講演会』/『慶應義塾大学 大学部創設125周年記念 商学部講演会』
コーエーテクモホールディングス
代表取締役社長

襟川 陽一

えりかわ・よういち/栃木県生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、株式会社光栄を設立。元々染業を営んでいたが、パソコン購入を期に、自力でソフトウェアの開発やゲーム開発を始める。本業の傍ら制作した「川中島の合戦」がヒットしたことで本格的にゲーム制作ビジネスを始動させ、名作「信長の野望」や「三國志」などのIPを生み出した。2009年4月にゲーム制作会社のテクモと経営統合し、コーエーテクモホールディングスを設立。全世界で300万本を超えて出荷したダーク戦国アクションRPG『仁王』では、ゼネラル・プロデューサーを務めた。