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KEIKO ERIKAWA
襟川 恵子

コーエーテクモホールディングス
代表取締役会長

限界を超えて感動を分かち合おう

コーエーテクモの強さは社員にあり

人に人格があるように企業には企業理念があり、それに沿って経営します。基本理念は「創造と貢献」。経営基本方針は「1.最高のコンテンツの創発」「2.成長性と収益性の実現」「3.社員の福祉の向上」「4.新分野への挑戦」です。具体的には志を同じくした人達と苦楽をともにし、全力を尽くしてより新しい、より感動的なコンテンツをユーザー様にお届けすることです。その見返りは、ユーザー様のお喜びの声と大きな達成感、そして自身の人間としての成長です。世界でたった一つの異なる個性が集まり、同じ目的に向かってことを成す、まるでお城の石垣のようですね。ひとつひとつの石の形は様々ですが、それをしっかり組み上げると美しく、とても強固に仕上がります。その結果、コーエーテクモが30年以上の社歴を持つ欧米を含めた世界のメジャーなゲームソフト会社の中で、一度も赤字に陥ったことがない唯一の企業となりました。メジャーと言えるのかな……(笑)。一度もリストラの発表もせず、離職率もIT業界の平均値より圧倒的に低くなっています。

福祉の向上のひとつ 働きやすい職場環境づくり

私は、常に社員の生活環境を整えることも念頭に経営してきました。オフィスを建築する際には同時に社員寮や社宅も建設してきており、資金的には大変でした。世間ではソフトウェア開発の資産は人材のみで、寮、社宅は必要ないとおっしゃる方もいます。しかし、女性経営者の母性というか、親のような立場としては入社したての子供の生活環境が気がかりなのです。 建物ではすべてデザインにも関わってきました。みなとみらいの新社屋も、以前よりお世話になっている世界のトップクラスのグラフィックデザイナーである永井一正先生にご協力いただきました。最近、植物によるリラックス効果や視覚疲労回復、化学物質の空気洗浄効果等が解明されてきました。

以前から心がけていましたので、植物を新社屋の設計に取り入れ、緑を育てる方も採用します。オフィスは人生で最も多くの時間を過ごす場所ですので、最適な環境で仕事をしてほしいと願っています。併設するカフェテラスもインテリアや料理等を充実させました。寮も不足するので、オフィスの近くに50~100室の建築を予定しています。

▲『コーエーテクモ社員寮』
▲『保養所・リゾートハウス「伊東ビラ」』/『京都社員寮』

また、奨学金の返済が米国で大きな問題となっていますが、日本でも入社直後の何かと物入りの中で、すぐ返済が始まります。これを改善するためにいったん会社が肩代わりし、昇給した5年後からの返済に繰り延べできるようにいたしました。
社員のコミュニケーションも大事にしています。各部単位で毎月接待交際費が割り当てられ、部内で使えるようになっています。また、クラブ活動は、社員が10人集まれば新設も出来、支援金を拠出しております。ゲームがヒットした際には昼食は食堂を無料開放し、夜はお祝いのパーティーを開くのが恒例で、社員の懇親を深めています。新人歓迎会や忘年会はゲストを呼んで帝国ホテルで開催します。社員が世界で一流の場所に行っても気後れせずに振舞える訓練の場でもあるからです。ホテルでの訓練といえば、欧米では必須のテーブルマナーの研修を入社前にフルコース料理で行い、シャンパンやワインの飲み方も学びます。

▲テーブルマナー研修の模様

育児休暇制度にも力を入れています。出産・育児で休暇になっても心配はいりません。仕事は社内外との調整や皆が協力し合うので女性の育児休暇の取得率は100%です。男性も育児休暇を取得するように指導し、高い取得率となっています。でも、育児休暇を取ったのに手伝えることがなくて、かえって足手まといと言われて会社に来る人もいて、困ったものです(笑)。

社会貢献

個々の企業だけが栄えて、それで終わりではありません。企業や社員がお世話になっている地域社会への貢献や、ビジネスにおいても業界全体のことを考えなければなりません。 当社グループでは、災害等に対する支援金拠出を1989年のサンフランシスコ地震より継続して行っております。 また業界のため、多数の社団法人や財団法人を設立し、諸制度を整えてきました。私が仕事を始めた当時、ゲーム業界は揺籃期で産業として法整備等、世界を視野に基盤を確立する必要がありました。シブサワ・コウが基金を提供し設立された公益法人科学技術融合振興財団(FOST)は日本学術会議 会長で文化勲章の近藤次郎先生が、この財団の会長をお引き受けくださいました。近藤先生は、東大教授で日本平和学会 会長である関寛治先生と学習効果の高いシミュレーションゲーミングを支援されており、ニューハンプシャーの学会で「信長の野望」をマネジメントゲーム教育に有効として取り上げてくださいました。最近、ツイッターで「信長の野望をプレイして、いかに治水工事が大事か!」と話題になりましたが、当時もハーバード大学大学院を始め、北米の大学が学生にプレイさせてテレビ等にも紹介され話題になりました。このFOSTも今年25周年記念を迎え、「ゲームとAI」のシンポジウムには多くのゲームソフト会社の皆様も参加されます。 これらの社会活動は大きく花開き、各組織も拡大発展しています。志を同じにする人達と様々なチャレンジをし、充実していたと感じています。私は睡眠を削り、子育てや勉強、仕事に取り組んできましたが、若かったからできたことで、今ではとても頭も体もついてきてくれません(笑)。

▲『AMDシンポジウム2018』


▲『第22回/第23回 AMDアワード受賞式』

限界を超えて、未来を開け

コーエーテクモに入社してくださる皆様、インターンシップを実施していていますが、企画・運営は外部の業者に任せることなく、当社を代表するディレクターや、メインプランナー、メインプログラマーから直接、話を聞くことができます。インターンシップに参加された96%の方が満足されたそうですので、機会があればぜひ参加してみてください。 どんな分野でも、真剣にその物事に取り組んで、難題があったら寝る間も惜しみ勉強し努力することで限界値が上がります。そのしきい値を何度も乗り越えることです。その結果、どんな難問も解く能力が備わってきます。情熱と周囲を巻き込む熱気を持ってチャレンジし、世間をアッと言わせてください。太く長く、楽しい人生をともに過ごしましょう。

コーエーテクモホールディングス
代表取締役会長

襟川 恵子

えりかわ・けいこ/横浜市出身。多摩美術大学デザイン学部卒業後、夫・襟川陽一と光栄(現コーエーテクモゲームス)を設立。会社経営の傍ら、「アンジェリーク」などネオロマンスゲームシリーズの制作を指揮し、世界初の女性向けゲームのジャンルを開拓。長年にわたりゲームソフトの著作権保護と業界の国際的な発展のために活動し、7つの社団法人や公益法人の設立に従事した。「The Wall Street Journal Online」記事『日本を直せる10人の人々』の一人として選出。経済産業大臣表彰受賞、総務大臣表彰受賞、2015年に藍綬褒章受章。