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FUMIHIKO YASUDA
安田 文彦

Team NINJA ブランド長
コーエーテクモゲームス執行役員

「言葉を必要としないもの」を目指してゲーム開発の3年間
諦めずに成し遂げることへの責任と楽しさ

もともとはRPGに興味があって

ゲーム業界を目指したのは、大学で文学部だったこともあって、ゲームのストーリーを作りたいと思ったからです。それで、新卒採用でテクモに入社しました。ちなみに当時の採用面接官に専務の早矢仕がいまして、面接中に私が「テクモのゲームをプレイしたことがない」と言ったことについて評判が悪かったらしいのですが、「それでもお前のことを採ってやったぞ」といまだに恩着せがましく言われます。私はもともとRPGが好きだったんですが、Team NINJAに配属になって最初に言われたのは「うちはRPGは作らないから」ということで……残念だな、と。でも『仁王』でTeam NINJA初のアクションRPGを作ることになったときは、やっと作ることができる、と嬉しかったのをいまだに覚えています。

ディレクターは何でもこなす

私は『仁王』でディレクターを務めました。ディレクターは何でもやる仕事です。ゲームの中身や、企画立案から最後のマスターアップ、プロモーションなどすべてに関わりますので、現場では一番偉いと思っています(笑)。アクションゲームの場合、だいたい大きく4つほどにチームを分けます。1つはレベルデザインで、ステージを設計したり敵を配置したりするパート。次がアクション。プレイヤーや敵キャラクターを動かして、どう駆け引きを作るかとか、触った時の面白さを決めます。そしてRPG。プレイヤーの成長するパラメータを決めたりします。最後は演出やストーリーで、CGやサウンド担当と協力して作っていきます。各チームそれぞれに信頼できるリーダーがいますので、彼らと協力し、時に激しく議論しながら作っていきます。

▲『仁王2』

大切な3つのバランス

コーエーテクモでは「品質・納期・コスト」について、耳にタコができるくらい言われますが、私はこれを『自分』を主語に置き換えて考えるようにしていて、「やりたいこと・やるべきこと・やれること」の3つが重要だと思っています。実はこれ、言葉自体は著名なゲームクリエイターの方の受け売りです。自分やチームの「やりたいこと」がないと物事は進みませんが、ただそれだけでもゲームは作れない。ですので「やるべきこと」を意識することによって、お客さまに期待されていることや、今後のためにチャレンジしなければいけないことを明確にしないといけません。そして、「やれること」というのは、チームやメンバーの特性・能力や、会社の技術力、予算から見えてくるものです。この3つのポイントはバランスが大切でして、たとえば「やるべきこと」だけだと受身になってしまいますが、かといって「やりたいこと」だけだとお客さまが求めていないものになったりしてしまうんですよね。実際、私自身も『NINJA GAIDEN3』で初めてディレクターを担当したときにそれらのバランスを取ることができず、シリーズファンのみなさんの期待に応えられなかったことをずっと後悔していました。でも、その反省が『仁王』のヒットにつながったんだと思います。

逃げずに何ができたのか

これからも世界中のお客さまに楽しんでもらえるゲームを作り続けたいですね。しかしTeam NINJA、コーエーテクモというブランドが本当に愛されるには、まだまだ力が足りないとも感じています。世の中にはもっと素晴らしいゲームがあるので、そこに追いつき負けないものを作るという意識が必要です。アクションゲームだと開発に2~3年はかかりますが、その3年間に諦めずに何に挑んできたか、逃げずに何ができたのか――それを意識できているかというと、まだまだだと思うんです。これにはゲームを作ることの責任だったり、楽しさだったりという実感を積み上げながらやっていくことが大事だと考えています。私はTeam NINJAを世界で一番のアクションゲームを作るチームにしたいですし、コーエーテクモを世界一のアクションゲームチームを持つ、世界No.1のゲーム会社にしたいですね。

▲東京ゲームショウ2019『仁王2』試遊

ゲーム業界には正解がない

Team NINJAでは、みんながプライド持ってゲームを作っています。お客さまに対して恥ずかしいものは出さないという姿勢で取り組んでいるので、すごく刺激的で、大変だけれど、間違いなくゲーム制作が楽しいということも感じてもらえるブランドです。私のチームは市ヶ谷にいますが、この市ヶ谷から世界中の人たちを楽しませることができるというのはとても面白いことだと思っています。ゲーム業界には正解がありませんので、正直大変ですし、厳しいこともあります。いいアイディアが採用されないこともあれば、採用されてもお客さまに面白くないといわれることもある。ただ、常にゲームを作りながら成長して、さらにいいゲームを作りたい、終わらないサイクルを一生楽しみたい、という方には素晴らしいチームだし素晴らしい会社だと思います。ここに共感できそうな方にTeam NINJAにぜひ来て欲しいですね。

Team NINJA ブランド長
コーエーテクモゲームス執行役員

安田 文彦

趣味は読書で、学生時代から膨大な読書量を誇る。「趣味は“読書”っていうと、みんな『ふーん』て笑うんですよ。適当に言っているだろう、みたいな。そういうリアクションは本当に悔しい(笑)」。ジェイムス・ジョイスの『若き芸術家の肖像』には、大きな影響を受けたという。「アイルランド文学が一番好きなんです。アイルランドの伝承を入れたくて『仁王』の主人公はアイルランド人という設定にしました」