人と仕事を知る

異なる才能が集まって、
素晴らしいゲームになる

松下 竜太 RYOTA MATSUSHITA
  • ディレクター

飽きっぽい自分がゲーム会社を選んだ理由

ゲーム会社に入った理由は、飽きっぽい性格にあるかもしれません。いったんはまると1日中それしか考えられないくらい熱中するんですが、すぐに飽きちゃうんです。お金をかけて工具や機材を揃えるのですが抑止力にならず。格闘技、プラモデル、家具やバイクなどの塗装、クライミング、サバゲー、焚火など。物だけ家にいっぱい残ってます。就職するときも仕事に飽きてしまわないかと思ったのですが、ずっと続いているものはないかよくよく考えみたら、ゲームくらいかな、と。そこで、歴史モノがベースにありつつ意外とさまざまなタイプのタイトルがあって、無骨にゲーム作りに取り組む会社というイメージがあったコーエーテクモに応募しました。ゲーム作りは全然飽きないどころかずっと学びや発見の連続で、力不足を痛感する毎日です。

少人数チームから大規模チームへ

今はディレクターという立場で、2020年には『ゼルダ無双 厄災の黙示録』という大きなタイトルにも関わりましたが、新卒でプランナーとして入社後しばらくは携帯ゲーム機に既存ゲームを移植する小さなチームにいました。一からの開発ではありませんがタッチペンや2画面など新機能の対応も含め、ゲームデザインからCG、サウンドなど、小規模だからこそ幅広いパートに触れることができました。大変でしたが、早いうちにゲームの全貌を見られたのはいい経験だったと思います。

大人数のチームに参加したのは4年目のこと。

『戦国無双4』の立ち上げに参加して、当たり前の話なのですが、ゲーム開発は多くの人の力でできている、ということを改めて痛感しました。また、いきなり仕事のスケールが大きくなって戸惑った面もあります。自分の企画や指示が社内外の多くの方に影響するので、わくわくする反面、「オオゴトになっちゃったな...」と。

ちょっと変わったプロジェクトで学んだこと

いままで開発に関わった仕事のジャンルは多いほうだと思います。「今年の大河ドラマが終わるまでに発売する」を目標に開発がスタートした『維新の嵐 疾風龍馬伝』は忘れられません。ちょっと変わったシミュレーションゲームである『ポケモン+ノブナガの野望』や『妖怪三国志』のプランナーも務めました。『戦国無双 真田丸』では城下町を作ったり。

特に思い出深いのは社内でアーケード筐体を開発した「VRセンス」の内蔵ソフト『超 真・三國無双』のプランナーとして参加したことです。全く未知の分野であったので、社内の多くの方に協力を仰ぎ、無理をいって巻き込ませていただき、なんとか完成させることができました。いざというときに力を貸してくれる人がいる。見つけやすい。ゲーム会社でゲームを開発する強みです。

作りたいのは人生をちょっと変えるゲーム

ずっと作りたいなと考えているのは、プレイした人の人生の可能性が広がるようなゲームです。特に大げさなことを考えているわけではなくて、例えば格闘ゲームをプレイしたことで格闘家を目指したり、クラフト系ゲームをプレイして建築家を目指したり。実際ならなくても、目を向けるきっかけくらいになれば。入社してからほとんど戦争のゲームを作ってますが......。

私は飽きっぽい分いろいろなものに興味を持つのですが、ゲームは入門用コンテンツとしてぴったりだと思います。自分の作ったゲームをきっかけに人生がちょっと変わった人がいて、その人のおかげで少しでも世の中がよくなっていけば。「創造と貢献」ですよね。

学生時代は自分の可能性を広げる時間

仕事に必要な知識や能力は全部入社後に教えてもらいました。学生時代はたぶん何をやっても大丈夫。自分の可能性は自分でも分からないので、好きなことを思いっきり突き詰めればよいのではないでしょうか。思わぬ才能を持つ人が、ゲームを面白くするキーパーソンになり得ると思いますし、これから世の中が大きく変化していったときにも、そういった芯の部分の力こそが強い武器になるはずです。

ゲームプランナーという仕事に絶対必要な能力というのは特にありません。問われるのはむしろ、今までやってきたことをどれだけ活かせるか、これから能力を伸ばすために謙虚に努力を続けていけるか、なんだと思います。どう活かすかはたぶん人それぞれですから、自分の中に好きなことや可能性をいっぱいため込んでおくのが大事だと思います。