MEMBER社員の声

Executive Officer

Hirosato Mishima

三嶋 寛了

執行役員
エンタテインメント制作本部
フューチャーテックベース ベース長
2002年中途入社

海外に渡り技術者として腕を磨こうと準備していたが、「幼少期に、クリスマスのイルミネーションと音楽を背景におもちゃを買ってもらってすごく幸せだった記憶があって。そういうことを届けられる側になれたらいいだろうな」と思い、コーエー(現・コーエーテクモゲームス)に中途採用で入社した。サーバー技術者だったが、3D技術に魅せられて志願して3D担当に転身。「非常に世界が広がりました。グラフィックス技術は独創性があるんですね。高めれば高めるほどクオリティも上がりますし、差別化ができるので非常に楽しい」

ゲームの開発現場では常にリノベーション・発明がなされている

ゲームエンジンの内製化にこだわる理由

 「今ここにないものを創り出す」、そのためにコーエーテクモはゲームエンジンの内製化にこだわってきました。ゲームエンジンに用いる技術はすべて自分たちで創り出します。外部から導入するエンジンは便利ですが、新しい発想をスピーディーに現実化することには向いていません。その点、コーエーテクモでは、開発チームの「こんな表現をしたい」という声に対して、理論化からグラフィックフェーズに落とすまでのイテレーションを大幅に短縮できます。エンジンを内製しているからこそ、どんな要望にも対応できる技術者が育っているのです。
 また、ゲームエンジンには開発環境という側面もあり、開発効率化につながる独自のワークフローを創り上げることができます。アートワークやAI、ゲーム制作に必要な編集機能を含む統合制作環境、アセットのパイプライン、グローバル拠点を含めた全社で共有するデータ管理など、ここまでトータルな統合開発環境を内製している会社はそうそうないと思います。

「フォトリアル」と「ノンフォトリアル」~広がる3D表現の可能性

 「フォトリアル」の品質は、近似計算の精度や情報量の向上にともなってますます進歩しています。単にフォトリアルと言っても様々な表現が可能になっており、『仁王』ではダークな世界観を表現するため現実世界とは異なる光を与えています。一方で、アニメ調や絵画調のいわゆる「ノンフォトリアル」も進歩しています。イラストレーターの描いた絵は現実世界とは異なる光の法則を持っています。

 それを理論化し、さらに多重化することでスタイライズ表現のレベルを高めています。これは日本に強みがあるジャンルです。最近では、絵を見るとまず「この画師はどう光を感じているんだろう」と考えるようになりました。フォトリアルとノンフォトリアルを組み合わせる手法も有効です。『進撃の巨人』や『BLUE REFLECTION』などでは、物理ベースの光とアニメ調の反射を混ぜるのではなく、光の理論そのものを融合させて独自の世界観を実現しています。

▲「フォトリアル」と「ノンフォトリアル」
前半は『真・三國無双8』のキャラクタモデルによるフォトリアル表現。現実世界の光の反射・透過散乱の近似計算により、光が変化しても自然な表情を見せる。
後半は『BLUE REFLECTION』のキャラクタモデルによるノンフォトリアル表現。ノンフォトリアルでありつつも、順光と逆光での表情の違いが見てとれる。特に逆光では光の透過散乱により、身体が赤みを増し、衣服にそのシルエットが浮かび上がる。また、ノンフォトリアル独特の艶表現は髪の毛にも実装され、太陽の色味の変化に対して自然な表情変化を見せる。
▲Katana Engine™
内製のゲームエンジンはゲームの開発だけではなく、ゲームで利用されるCGアセットの効率的な制作にも活用される。
単なるマテリアル制作からシネマティックなカットシーンに至るまで、ゲームエンジン上で制作されるアセットは多種多様に及ぶ。

ゲームAIを進化させる楽しみ

 非常に面白いことに、ゲームAIへの取り組みも極めてユーザー指向です。AIの振る舞いにより何をユーザーに感じ取ってもらいたいかをコンセプト化するところから始めます。例えば『信長の野望・大志』では、「個性のある大名」がコンセプトとしてあり、大名の個性って何?と考えていきます。最終的には個性は史実にも反映されると仮定し、大名のとる戦略面で個性を表現しました。
 また、AIの振る舞いを時系列で文脈の流れとして捉えることで、ときには合理的に、そしてときには非合理的に意思決定がなされる様が見えます。この意思決定の背景にあるAIの意図をうかがい知ることができるかというチェックも、品質を測る楽しみな要素です。この「AIの振る舞いは何を意図してのものだろう?」という問いかけはレビュー時に必ず行います。

 ところで、AIと聞くと個体の知能をイメージしがちですが、ゲームでは軍団AIなどのように複数の個体が役割を持って構成される組織に対して一つのAIを持たせることがあります。このような組織AIの意図と意思の決定をリアルタイムに実現するためにゲーム内の登場要素に応じて適切なAIアーキテクチャを考えることも、ゲームAIを作る醍醐味だと思います。
 当社ではゲームAI自体の開発だけではなく、デザイナーとプログラマーをつなぐためにゲームAIの制作環境も内製で開発しており、日々レベルアップさせています。利便性よくアイディアを具現化する仕組みの整備を、さらに進めていく予定です。

世界に挑戦できる資格を持った会社

 コーエーテクモには、一線級のゲームエンジンを内製で開発できる技術力があります。いつ新しいプラットフォームが登場しても、それに対応する環境を自分たちで用意できる数少ない会社です。ミドルウェアメーカーがアップデートしてくれることを待つ必要なく、新しいこと、面白いことを、すぐに実現できるのです。

 これは世界に挑戦するゲームメーカーとして、欠かすことのできない資格だと思います。ゲーム開発の現場は、日常的にリノベーションや発明が行われており、エンジニアがまるでクリエイターのように活躍できる場です。世界を変えるのに必要なのは、志と情熱、それとほんの少しの発想なのです。