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KEIKO ERIKAWA
襟川 恵子

コーエーテクモホールディングス
代表取締役会長

好きなことを、仕事にすべき。その気持ちこそが、名作を生みだす。

企業経営は社会、社員ともに進化する 〜2020年入社の人は強運の人〜

企業は利益を追求しないと存続できません。ただそれだけではむなしいですし、企業も豊かにはなりません。社会や社員とともに成長し、発展していきたいと考えています。また、時には様々な活動を通じて、社会を牽引することも必要です。社員が安心して働くためにはオフィスだけでなく住環境の充実や福利厚生も大切です。資金的には大変でしたが、創業以来オフィスを建てる時には必ず社員寮や社宅も建設してきました。

▲『コーエーテクモ社員寮』
▲『保養所・リゾートハウス「伊東ビラ」』/『京都社員寮』

建築物やオフィスのデザインは、ずっと私が担当しています。2020年には最高峰のオフィス環境を実現した新社屋を横浜みなとみらいに完成予定です。この年に入社の方は先輩の努力の賜物をはじめから享受できるのでラッキーです。オフィスは一生のうちでも特に長い時間を過ごすところですから、社員がクリエイティブで気持ちよく仕事を進められるように手を尽くしているところです。緑も多く取り入れました。レストランも充実させて、すてきなインテリアで美味しく楽しく食事をしてほしいと思っています。

▲『コーエーテクモゲームス みなとみらい新社屋 完成予定図』

コーエーテクモではゲームがヒットすると食堂を昼も夜も無料開放してお祝いのパーティーを開くのが恒例で、社員の懇親を深めています。新人歓迎会や忘年会はゲストを呼んで一流のホテルで開催します。楽しんでもらうだけではなく、社員が世界で一流の場所に行っても気後れしないようになってほしいと思うからです。でも悩みはその時の余興、役員バンドです。その年のヒット曲を役員メンバーが披露しますが、私はファイナンスの責任者でテレビは日経CNBCしか見ないため、曲をまったく知りません。「恋」の時は踊りながら歌うので、舞台上で心臓麻痺でひっくり返ると思いました(笑)。社員やご家族を対象にしたイベントも開催してきました。ご家族の力添えがあってこそ社員が力を発揮できるわけですから。シルク・ドゥ・ソレイユやミュージカル、世界的なアーティストの展覧会などに、ご家族も招待してきました。

▲『コーエーテクモ 役員バンド』

福利厚生では育児休暇制度にも力を入れています。出産・育児で休暇になっても心配はいりません。仕事は社内外との調整や皆の協力により補うことができます。だから、出産した女性の育児休暇の取得率は100%です。育児経験は人生における宝物ですから、仕事に生かしてほしいですね。他社の方が人数ぎりぎりなので子供も産めないと仰っていましたが、気の毒でトップの方に強く直訴しました(笑)。男性も育児休暇を取得するよう働きかけており高い取得率となっていますが、育児休暇を取ったのにできることがなくて「いても足手まといで邪魔」と奥様に言われてしまう男性社員もいるので、困ったものです(笑)。出産のお祝い金は、3人目が200万円です。「この子はいい子、200万円が付いて生まれてきたのよ」ですって。 こうした福利厚生の考えはグローバルな視野で取り組んでおり、各国のグループ会社で、国情に合わせて実施しています。

経営で大事にしてきたこと

コーエーテクモの誇るところは、30年以上の社歴を持つ欧米を含めた世界のメジャーなゲームソフト会社の中で一度も赤字に陥ったことがない唯一の企業であることです。当社もメジャーに入るのかな(笑)。社内システムを整えてゲーム開発の「見える化」を図り、常に全社をあげて改革を進めてきました。大規模なリストラもしないで今日にいたっていることは、社員の努力の賜でもあり、誇りに思います。世の中は男女で成り立っているので、男性と違う発想や細かい気づかいが得意な女性の特性を生かして経営に携わってきましたが、今後とも女性の力を活用したいです。

今、グローバルな企業の評価基準として、国際的にESG(Environment[環境]、Social[社会]、Governance[企業統治])が取り上げられています。ESGは新しい言葉ですが、1980年代から、持続的な成長と社会との共存を常に心がけてきました。 社会貢献活動にも積極的に取り組んでいます。災害等への支援に関しては、1989年のサンフランシスコ地震をきっかけに、義援金の拠出を始めました。以来、国内外の災害に際して、会社、社員、有志の方々にもご協力を呼びかけて義援金を取りまとめ、支援をさせていただいております。また、財団法人や一般社団法人の設立に携わり、社会や産業界が抱える諸問題の解決に取り組んでまいりました。これらの活動は大きく花開き、各組織も拡大発展しています。

▲中央共同募金会「赤い羽根」から感謝状を受領

昨年には「一般社団法人デジタルメディア協会(AMD)」の理事長として、会員様の強い要望により、日本のeスポーツ大会の環境整備に取り組みました。古い法制度に縛られ世界に大きく遅れている状況を打破するため、関係省庁との協議や政治家の方々の元にも足を運び、ハードメーカー各社とも調整を重ねたり、シンポジウムも開催しました。おかげさまで問題は解決しつつあり、統一団体として「一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)」も設立されて、eスポーツの振興に拍車がかかりました。当社の経営方針の一つは「新分野への挑戦」で、社会にとって役立つチャレンジをし続けることですから、今後とも微力ながら世に役立てれば幸いです。

▲『AMDシンポジウム2018』


▲『第22回/第23回 AMDアワード受賞式』

JASRAC許諾第9022496001Y45040号
コーエーテクモホールディングス
代表取締役会長

襟川 恵子

えりかわ・けいこ/横浜市出身。多摩美術大学デザイン学部卒業後、夫・襟川陽一と光栄(現コーエーテクモゲームス)を設立。会社経営の傍ら、「アンジェリーク」などネオロマンスゲームシリーズの制作を指揮し、世界初の女性向けゲームのジャンルを開拓。長年にわたりゲームソフトの著作権保護と業界の国際的な発展のために活動し、7つの社団法人や公益法人の設立に従事した。「The Wall Street Journal Online」記事『日本を直せる10人の人々』の一人として選出。経済産業大臣表彰受賞、総務大臣表彰受賞、2015年に藍綬褒章受章。